YELLOW MAGIC CARNIVAL


 一人では何もできなけれど、少しずつ自我が目覚め始めた頃の「プチひきこもり」(ただ、勉強でもしているふりをしていただけですが)のお供アイテムといえば、やはりラジオでしょう。当時は、あまり好ましくないスタイルとして「ながら族」という言葉が使われ始めていたけど、あえてそういうことに憧れていた。

 そんな中で、いきなり心を鷲掴みにされたのは、ラジオから無防備に流れてきた「YELLOW MAGIC CARNIVAL」でした。

 マナの舌足らずのハスキーボイスもさることながら(声はCharaに似ているけど、お顔の写真は拝見したころがなく、ジャケットのイラストがそのまま刷り込まれています)、ポップなアレンジがとても魅力的だった。当時、ヒットした The Doobie Brothers「What A Fool Believes」にそっくりなのはご愛嬌か。
 それに歌詞。世界中のどこでもない無国籍な町にたたずむ不思議な少女。その娘が操るのは神聖な白魔術でも、邪悪な黒魔術でもない。Yellow Magic。

南京街のおかしなあの娘 とんちんかんな目 見たら駄目よ

 細野晴臣さんのトロピカル三部作のひとつ「Tropical Dandy」、Tin Pan Alley「Caramel Mama」収録の同曲を、林立夫さんによるプロデュースと、どちらかというと歌謡曲寄りのマナ(筒美京平作曲の「TOKIO通信」を歌っていた)が歌うことによって、細野ワールドがやっと当時の自分レベルにまで降臨してきた、ということか?オリジナルも好きだけど、こっちも好き(でも、音源はもうもっていないのは悲しい)。でも、「TOKIO通信」の "TOKIO"が、 YMOTECHNOPOLIS」にリンクしているなんてのは、考え過ぎかな。

 ところで、今では「とんちんかんな目」なんて放送できるのかな?