ゴールデン・ピクニックス

 前出のNHK少年ドラマシリーズが始まる前に、毎日楽しみにしていたのは、TBSで午後5時から放送されていた「ぎんざNOW !」。実はアイビーファッションの先駆者のひとりであるせんだみつおが司会のこの番組は、あまたのタレントを輩出したオーディション番組でありながら、当時では数少なかった良質な音楽情報番組でもあったと思う(たぶん)。数年前に亡くなったオリコンの小池社長(「社長ぉ〜う」のかけ声で有名)は、国内チャートの紹介の他にも、洋楽の情報も充実していた(当時としては)と記憶している。動くQueenも、動くStevie Wonderも、動くEarth, Wind and Fireも、動くCheap Trickも、動いてすぐにいなくなった The Nackも、この番組で初めて遭遇したのだ。
 姉も必ず見ていたので、多少なりともそれからの音楽嗜好に影響を及ぼしていたはず。銀座からの生放送だったけれど、いつもどこかの高校生のグループがスタジオに招待されていた。この時ばかりは、早く大きくなって、テレビにでたいなぁ〜と、そんな幼稚なことを考えていた(その他には、「ポロポーズ大作戦」のフィーリングカップル 5 vs 5と、「ラブアタック」でした、とほほ)。

 閑話休題
 それからも姉の部屋からはそれまで聞いたこともない音楽が漏れてきた。
いつも新しい音ではあったけど、今度のはこれまでとはまったく趣向が違っていた。一話完結のシングル曲ではなく、繋がる曲で構成されるドラマティックな展開が非常に新鮮に感じられた。なにを隠そう、当時の私はたくさんの曲が入っているけれど、シングル曲以外に特に意味を見いだせていなかったので、LPって正直無駄だなぁ〜と思っていた。
 でも、それはまったく違っていた。プログレッシブ・ロックという言葉も知らなかったけど、ぐいぐいと引っ張られる疾走感、めまぐるしく変化するリズム、そして初めて体験する不思議なメロディに、自然と体が動いていた。

『カーニバルがやってくるぞ』

よそいきに着がえて皆な出ておいで 学校から町から店の中から
誰が入ってきてもいいさ おれたちは歌い続けるから

 歴代メンバーは、森園勝敏佐久間正英岡井大二坂下秀実、中村真一、茂木由多加。
 そうそうたる才能の人たちである。その後、頭脳警察プラスチックスへと続くが、今もまた彼らの影響力は色濃い。今思うと、この時の坂下秀実さんのKeyがインプリンティング(刷り込み)されて、その後のキーボード好きになったのかな?

 そうか、カーニバルは終わっていないんだね(なんちゃって)。