風街ろまん (1971)
ぎんぎんぎらぎらの夏なんです。
この暑さの中で、高校球児たちはすごいなぁ、連日連投のエースで四番はえらいなぁ。そんな若さに対してまぶしがりやになってしまった僕は、かき氷をほおばりながら、古い茶屋の店先に誰かさんとぶら下がる(娘とですが...)。
夏になり、逃げ水で光る郊外の道を走っていると、思い出し口ずさむのは、はっぴいえんどの「夏なんです」。2000年を超えた今でも、夏の風景はうれしいことにあまり変わっていなくて、歌詞が描かれたもとの景色をかなりの精度で再現できているのではないかと思う。
「再現」といえば、この『風街ろまん』は、 The Beatlesが多重録音のテクニックを実験しながら、レコーディングの魔法を完成させた Abbey Road Studioとほぼ同じ環境を「再現」して、はっぴいえんどのメンバーとレコーディングエンジニアが造り出したということだ。逸話として、ランチャーズの喜多嶋修さんが深夜 Abbey Road Studioに忍び込み、The Beatlesが使用していた機材を入念に調べ上げ、その報告を受けたエンジニア吉野金次さんと共に研究を重ね、ビートルズの音響を再現する事に成功した、ということ。音の良さに惚れ込んだはっぴいえんどのメンバーが吉野金次さんに『風街ろまん』の録音をお願いしたのは有名な話。
吉野金次さんのことは、FM NHKのサウンドストリート(たぶん、佐野元春さん)でよく聞こえてくる名前だったけど、その頃はそのお仕事の中身よりも、吉野金次さんの「金」、伊藤銀次さんの「銀」と続き、それでは「銅」がなくてはいけないだろうということで、『笛吹銅次』という変名を大滝詠一さん*1が使うことになった云々、というエピソードのほうが強烈に覚えている。それと、自分の父親の名前と非常に似ているところも(親父の名前は「よしのきんや」)。
その吉野金次さんが今年の春に脳出血で倒れたらしい。
一命はとりとめたものの、完全快復にはまだまだということで、矢野顕子さんと細野晴臣さんが中心となって、快復を願うライブが開催される予定だそうです。
『レコーディング・エンジニア:吉野金次の復帰を願う緊急コンサート』
8月28日(月)18:30開場/19:00開演 北沢タウンホール
すべてチケットは完売だそうですが、公開リハーサルが 16:00から行われるようですよ(charge:3,000 yen)。
みなさんから愛される吉野金次さん、がんばってください。